アサガオを君へ
アッキーは眉をひそめて私を見ている。


怒っているのかもしれないし、呆れているのかもしれない。


でもこれが私の本音だ。


私は綺麗じゃない。


漫画の主人公みたいに、私が死んで助かるなら喜んでっなんて思えない。


「私は夏樹のためになら死ねるけど、夏樹の代わりには死ねない」


「…どーゆーことや」


アッキーの手に力が入ったのが分かった。


私はその手をチラッと見た後言った。


「もし夏樹の上に大きな岩が落ちてくるなら、私は迷いなく夏樹を突き飛ばして代わりに死ぬ。だけど、昔から分かっている夏樹の死は代われない。そんな無責任な行動は、突発的なことじゃない限り取れない。私は痛いほど分かっているのに、夏樹を私の代わりに生きさせるなんて無理」


アッキーはイライラしたように、私の胸ぐらを掴んだ。


「回りくどい言い方せずに、はっきり言えや!!」


「あんたには分かんないよ!!!」


私は、私の胸ぐらをつかむアッキーの手を掴んで言った。


「残される方がどれだけ辛いか!!残していく方がどれだけ楽か!!私は楽な道を夏樹から奪える訳ない!!あんたには分かんないよ!!私とあんたは違う!!私は18年間ずっと残される立場だったんだから!!」
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