アサガオを君へ
アッキーは深くため息をついた。


そしてアッキーの裾をギュッと握る私の手を、つかんで言った。


「俺は、お前の聞き分けのいいところが嫌いや」


聞き分けなんて、良くない。


言い返そうと口を開くと、アッキーはもう片方の手で私の口を塞いだ。


「黙って聞け。お前の、何にも期待してませんって顔が俺はめっちゃムカついた。大切だ!って言う割には夏樹の弟の最低発言も許すし。本当に何考えとんのかさっぱりわからん」


私はギュッと口を結んだ。


涙が何故だか溢れそうだったけど、頑張って真っ直ぐと薄暗いアッキーの目を見つめる。


するとアッキーは笑った。


そして私をギュッと抱きしめると言った。


「俺はまだお前に腹立つところがある。でも、お前も普通の人間やったんは分かった。どこにでもおる、普通の女子高生や。ちょっと不器用なだけやったんやな。本当はめっちゃ心ん中で期待してたんな」


私は我慢していた涙がこぼれた。


そう。


そうだよ。


私、本当はすっごく期待してる。


馬鹿みたいに、ずっとずっと期待してる。
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