アサガオを君へ
私も最初は何を伝えたいのか分からなかったけど、長年一緒にいたおかげで今では伝えたいことが手に取ったように分かる。


だから、夏樹が伝えたいことは気付いてる。


押し黙ったまま空を見上げている私に、夏樹は視線をうつした。


私もそれに答えるように夏樹の視線に自分の視線を絡めた。


夏樹は私から視線離さず言った。


「お前が俺を普通に扱ってくれるほど俺は楽だ。でも、お前が俺を普通に扱うほど辛くなるなら、もう俺に構うな」


昼間のことを言っているんだ。


私がクラスで浮いたあの瞬間。


夏樹が私に向けて見せた冷めた目線の奥に見えた怒りは、私にでも橋本さんにでもない。


自分自身にだ。


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