アサガオを君へ
夏樹は昔から気を使われるのが大っ嫌いだった



先生にも親にも気を使われるたびに、眉間にしわを寄せていた。


夏樹にとっての心臓病は、他人が思っているほど重要じゃ無い。


産まれた時から付き合ってきた存在で、自分の体のことは自分が一番分かっている。


なのに、出来ることでも出来ないことでも、ひとまとめに危険なことをさせてもらえないことが、腹立たしく納得いかないのだ。


昼間の私のあの言葉は、私と夏樹にとっては取るに足らないことだった。


だって水には絶対に入れなくて、確実にアウトなラインだから。


私にとってはダメなことをダメだと言ったまでで、夏樹にとってはダメなことをダメだと言われたまでなのだ。


それが私たちの当たり前で、生きてきた世界。


でも、私たちの以外の人が生きているこの世界では非難されてしまう。


心無い言葉を発したと取られてしまう。
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