アサガオを君へ
私は立ち上がって夏樹を見つめた。


夏樹は微笑んだまま私を見ている。


こんな優しい視線を受けられるのもあと1年。


私は少し寒くて、自分の体を抱きしめながら言った。


「本当に夏樹の心臓、1年後には止まるのかな」


夏樹は首を傾げながら自分の胸に手を当てる。


「んー。どうだろうな。一応余命は19年だからな。…まぁ、余命は余命だろ。実際どうなるかは分からないだろ」


来年の今頃には夏樹はこの世からいないことになっている。


私たちの生きてきた世界が壊れる。


私たちの世界はあくまで、私たち2人の世界。


どっちか一人がいなくなったら、それはもう私たちの世界じゃなくなる。


私たちの世界は壊れて、私一人をこの世界において夏樹は消えてしまう。


今年で夏樹といれるの最後。


嫌でも離れていってしまう。


あらがうことなんて不可能。


どんなに頑張ったて人間には、生と死だけは決めることはできない。


それが人間に産まれてきた私たち2人の最大の過ちだ。
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