アサガオを君へ
私がうつむいて考え込んでいると、ガシッと肩を掴まれた。


「なっ!!」


びっくりして顔を上げると大阪弁くんが呆れた顔をして私の肩をつかんでいた。



な、なんなの!?


私が訝しげに見返すと、大阪弁くんは無駄に大きな声で言った。


「あんなぁ!あんたの言葉はわかりにくすぎんねん!さっきのあんたの言い方やったら、喧嘩ふっかけとるようにしかとれんわ!」


「……そうですか」


何かこの人、うるさい。


私は顔をしかめて後ろに下がった。


大阪弁くんは私の肩から手を放して、ニカっと笑って言った。


「よし!あんたらと一緒の班に決めた!ホンマは橋本と一緒の班になるはずやってんけど、こっちのほうが面白そうやからな!」


橋本っと言う言葉を聞いて、ピクッと肩が動いた。


…また橋本さんにちょっかいかけられたのか。



私はチラッとホール内を見ると、少し離れたところから橋本さんたちがこちらを見ているのに気が付いた。


夏樹と橋本さんを一緒の班にするのは嫌だけど、昨日の夏樹の話を聞く以上、夏樹自身があまり橋本さんに好意を持っていなかったみたいだから…。


私は首をふって言った。


「いえいえ。どうぞ遠慮なく橋本さんと同じ班になってください。本当にこちらは心配ないので」


私といるより、橋本さんといる方が夏樹には何かと得になることが多いかもしれないし。


冷静な判断の結果、私は引くべきよね。


うんうんっと心の中で納得していると、今まで黙っていたノンちゃんがスッと前に出て行った。


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