アサガオを君へ
私が目をつむったそのとき、グイッと腕を後ろに引っ張られた。


え?


目を開けると、ノンちゃんが私の腕を掴んでかばうように前に出ていた。


少しだけ見えたノンちゃんの顔は怒っていた。



「橋本さん。宮野くんと一緒に居たいなら好きにすればいいけど、ココに突っ掛かるの止めてくれる?」


ノンちゃんの通る声で、はっきりと言われた橋本さんは少し驚いていたけど、すぐに微笑んで言った。



「えー、なにそれ。私は別に宮野くんが、また花野さんに嫌なこと言われないように!って思っただけだけど?」


綺麗な顔で微笑む橋本さんに、相変わらず無表情の夏樹。


今、何考えてるの夏樹。


いつもならここまで酷いと夏樹がいつも止めてくれる。


でも今回は黙って見ている。


何だろう。


私がジッと見つめると夏樹も私から目を離さない。


一瞬、時間が止まったかのように思った。


そのときチャイムが鳴って授業が終わっても、私たちは目を離さなかった。


「ココ、帰るよ」


ノンちゃんにそう言われても、私は夏樹が見えなくなるまで夏樹を見つめていた。
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