アサガオを君へ
ホームルームのチャイムが鳴って、担任が話し始める。


夏樹がこない…。


私は担任なんか目もくれずに、教室の扉を見つめ続ける。


後ろからツンツンっとノンちゃんに突かれて、小声でなに?っと答える。


「ココ、いい加減にしなよ。宮野くんが遅刻するのは珍しくないでしょ」


「わかってるけど…」


ノンちゃんに怒られても視線をドアから外すことができなかった。


いつの間にか担任の朝の報告は終わっていて、教室は静かになっていた。


普通ならうるさい教室も、まだ慣れない怖くてめんどくさいと有名の先生が担任なら、初日くらいは目をつけられないように大人しくするのが一般的だ。


だからみんな、配布されたプリントを眺めたり、次の時間割を確認したり、終わってない春休みの宿題をこっそりとやったりと、とりあえず静かに過ごしている。


時計の音しか聞こえない教室は、新学期初日しにか聞くことがない。
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