アサガオを君へ
夏樹は怒った顔のまま、空いていた席に座った。


私の斜め前の席の女の子の、前の席。


微妙な距離だ。


私は自分の机に頬をつけた。


でも、この席から見やすい。


私は携帯を取り出して新規メールを開く。


送信履歴から夏樹を選んで『フルーツ牛乳おごってあげる』とだけ打って送った。


私は携帯をしまって夏樹を見る。


夏樹はポケットから携帯を取り出して確認している。


そしてクルッとふりかえると私を見つめた。


予想外で少しドキドキしながら夏樹の目を見つめ返すと、ニヤッと笑って携帯をチラつかせた。


どうやら嬉しかったらしい。


私がクスクス笑うと、夏樹もフッと笑って前を見た。
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