アサガオを君へ
私が夏樹のことに何でも気付いていたように、夏樹も私のことに気付いてたんだ。


夏樹が無茶をするたびに、私がいつも心配をしていたこと。


橋本さんみたいな人に夏樹のことを言われても、夏樹に嫌われたくなくてあからさまに真正面から否定することができなかったことも。


迷惑じゃなかったんだ。


私の感情は迷惑じゃなかったんだね。


私はゴシゴシと目をこすって深呼吸した。


「うん。分かった。…ありがとう」


「どういたしまして」


肩が夏樹の重みでピリピリと痺れてきたけど、私は何も言わなかった。


この痺れすら愛しい。


夏樹から与えてもらえるものなら、こんなものでも先から先まで愛しく感じられる。
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