アサガオを君へ
夏樹はあくびをして言った。


「俺、眠い」


「さっきまで保健室で寝てたんでしょう」


私はおかしくて微笑んだ。


すると夏樹はガサゴソっと自分のポケットに手を突っ込むと、くしゃくしゃの白い紙を私に私て言った。


「テスト期間中、ずっと新作ゲームしてた。クリアしたのは今日の午前4時」


「…は?」


私は慌てて渡された白い紙を広げると、赤い数字が見事に並んでいた。


夏樹は寝るーっとつぶやくと、スースーと寝息が聞こえた。


私はしばらく呆気にとられてから、夏樹の赤点だらけのテスト結果が書かれた紙を綺麗にたたんでポケットに入れた。


結局のところ……。


「補習…参加しなくちゃ」


どうやら、今年の夏は補習三昧になるみたいだな。


私は眠ってしまった夏樹の頭の上に重ねるように自分の頭を置いて、大きくため息をついた。
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