アサガオを君へ
低くて少しだけ聞き取りにくい声の夏樹が、橋本さんの顔を見て言った。


「んー、別に変わったことはしてない。普通に映画見たりゲーセン行ったり」


嘘つき。


私は2.3枚ページを一気にめくる。


夏樹は映画もゲーセンも確かに好きだけど、基本いっつも寝てる。


ちゃんと約束していても、家に迎えに行かないとずっと寝っぱなし。


そうとも知らずに橋本さんや周りの女の子は、キャーキャーと騒いでいる。


意味わかんない。


別にゲーセンも映画見るのも普通のことじゃない。


ただ単に騒ぎたいだけじゃん。


私は気づかないうちに手に力が入っていたらしく、ノンちゃんにため息をつかれた。


「ねぇ、ココ。別に機嫌が悪いのはいいんだけど、それ私の雑誌なんだよね〜」


その言葉にハッとして私は手の力をゆるめた。


テヘッと笑ってみせると、また大きくため息を吐かれてしまった。


いけない、いけない。


今は雑誌に集中!
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