【短編】僕+初恋=後輩
「あ……!!」
『彼女』はこちらを見るなり驚いた
「まさか人がいるなんて…!!」
「そりゃあいますよ」
彼女は横に高く結んだ髪を揺らしながら先程の窓からこの化学教室に入ってゆく
「ちょっ…!!ここは2階だぞ!?第一、君は…」
「2階だからこそ入ってきたんです!!それに、アタシは2年です」
イマイチ納得いかなかった
「じゃあ、証拠は?」
そう言われ、彼女は背負っていたスクールバックをガサガサと荒らし、深い青の生徒手帳を差し出した
『加那汰莉緒 カナタリオ 普通科 平成19年度入学生』
生徒手帳の中に入ってる身分証明書を確認する
写真は今とあまり変わらない
「これで証明出来ましたよ?」
「ああ…ありがとう」
「ンで!?先輩の名前は?」
上履きのラインの色で3年と解ったのだろう
「石浦憲弍良だ…漢字は覚えなくて良い」
「そう言われたら覚えたくなりますよ!!ヨロシクお願いします!!石浦先輩ッッ!!」
彼女は元気よくそう言って右手を突き出してきた
……握手をしようってのか?
僕は加那汰さんの白い指の長い手を程よい日焼けした彼女より大きな手で握った