【短編】僕+初恋=後輩


「ねぇ…」
「?」

おもむろに彼女は口を開いた


「アタシたち、また会えますよね?」

まるで、これが最初で最後の対面みたいな言い方だった


「会えるでしょ?」
「!?」

「だってさ…同じ学校じゃん?会えない方が可笑しいよ」


僕は彼女の不安を消すように笑ってみた

多分ぎこちないだろう

苦笑いに見えてしまうだろう


作り笑いって思われてしまうだろう…

それでも、彼女の不安を取り除きたかった


「そうですね!!また、会えますよね!」

そう言って彼女は笑顔をつくった


自然にでたのだろうか…?
それとも、作り笑いなのだろうか?


それでも、彼女の笑顔は綺麗だった


僕もつられて笑うのが解った


「あ!!ヤバい!!物理の補習に間に合わない!!」

彼女は耳がキーンとするだけの威力の叫び声をあげた


「それでは!!また会える日まで石浦先輩ッッ!!」
「また会える日まで!!加那汰さん」

それで別れる

そう思った


「『加那汰さん』なんて止めてください!!『莉緒』って呼んでくださいよ!!アタシも『憲弍良先輩』って呼びますから!!そいではッッ!!」


そう言って嵐のように、風にさらわれたように消えていった


そこにあるのは切れたミサンガのみ


「ミサンガ…つけていたっけ?」

これはまた会える気がした

『may be』ではなく
『probably』の方で…


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