【短編】僕+初恋=後輩
3年の秋
化学教室と茜と…
あれから何ヶ月が過ぎたのだろうか……
もう、10月だ
センターまであと3ヶ月しかなかった
日が暮れるのも速くなっていた
また僕は化学教室に足を向かわせた
あの時のミサンガを持って
今日、またあの時の彼女――
『莉緒』
――に会える気がして…
化学教室に入る
珍しく誰もいない
そこには前に莉緒が登ってきた窓が開いて、カーテンが風と舞ってそこから茜と赤と黄の木々がいるだけ
その風は僕を優しく包むが軽く刺すような寒さがあった
「あらよっと!!」
「!!!!」
「あ…!!先輩…」
莉緒は頬を紅らめていた
きっと寒さのせいだろう
「また…会えましたね!!」
「あぁ…!!僕は嬉しいよ」
「アタシもです!!」
今にも涙が浮かびそうな笑顔で僕の目を見た
“抱きしめたい”
そう思ってしまった
莉緒の彼氏ではないが
彼女のその笑顔を壊したくない
彼女を傷つけたくない
そう思ってしまった
「先輩…」
「――ッ!!」