寂しいキューピッドは溺れた
だってわかっていたじゃない。

嫌っていうほどわかっていたじゃない。





あの子はあたしにとっても大切な親友で、本当に優しくって芯の強い、いい子だって。

彼と、お似合いだって、さんざん思っていたじゃない。






だからーー



「悲劇のヒロインぶって、泣くんじゃないわよあたしっ・・・!」




悲劇のヒロイン?

そんなのあたしじゃないでしょう?


あたしは大胆不敵なキューピッドで、とんでもない悪役でしょう?

ついでに言えば、びっくりするぐらいのマヌケ女。





大切な2人の幸せを、祝ってやれないのならせめて。

泣かないくらいの根性みせなさいよあたし。





じゃないとあたしは、あたしに落胆する。

そうでしょう?





「泣くな泣くな泣くな泣くな泣くな!」



呪文のようにわめいていれば、きっと泣かないわよね?





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