寂しいキューピッドは溺れた
ぼやける視界に、イライラする。

溢れそうな目の水分に、苦しくなる。


電気もつけていない、たった1人の暗い部屋に、寂しさがつのる。





ーーねぇ、なんで・・・




なんで、あたしじゃないの?

あたしじゃ、ダメなの?






最低なことを思う自分に辟易する。


切なさに胸が張り裂けそうだ。







「泣くな泣くな泣くな!」




あぁ、でも、なんて寂しい夜ーー







ーーピンポーン




突如響いたなんとものんきなインターホンの音に、なんだかホッとした。


宅配かしら。

たまに両親から大量の野菜が送られてくるから、それかも。




思いつつ、のそのそと立ち上がり、玄関へ向かう。


にしても、なかなかナイスなタイミングよね。

寂しさにどうにかなりそうだったもの。





鍵を開け、ドアを開いたーーら。





「はっ・・・?」


宅配の人ではなく、白い半袖シャツにジーパンの、長身の見知った男が立っていた。





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