アイドルだって恋はする
いつものようにステージに立ち、メンバーと楽しみファンに楽しんでもらいアンコールをもらった。アンコールの終わりにはメンバー一人ひとりから挨拶があるが、そこで客席に彼女がいることに気がついた。目があった瞬間、彼女は自分がいることがバレたと思ったのか目を見開き驚いた表情でこちらを見ている。初めて話しかけたあの時と同じじゃないか、と懐かしく、そして愛おしく思ったがこのままじゃまた逃げられることが安易に想像できたので、アンコールが終わり次第急いでスタッフに彼女を楽屋へ連れてきてほしいと頼んだ。絶対に逃がすなと念を押して。
「透さん、お連れ致しました。」
スタッフによって連れてこられた彼女は完全にビビっていた。
「ひさしぶり、美里ちゃん。」
ほほえみながら彼女に話す。ああ、やっと彼女をものにできる、俺の心はそのうれしさでいっぱいだった。
「え、あ、お久しぶりです…あの、私はなぜここに連れてこられたのでしょうか…?あの時のことは、できればなかったことにしていただきたいのですが…。」
彼女のその言葉に不機嫌になったのが自分でもわかった。
「なかったことになんてしないよ?それとも何、そうしてほしいの?」
真顔でそう聞くと、彼女は怯えたような顔をした。