許されるなら‥‥もう一度

一輝さんが、謝罪をしたいと
言ってから‥‥
2ヶ月が過ぎていた。

今はもう、一輝さんからの
電話もない。
連絡も最初の一、二週間だけ。
私の家にも、まったく来ていない。

一輝さんが、一美さんと凌馬君と
どんな風に過ごしているのか
一美さんとまた·····
愛しあうことになったのか
と、一人で色々と考えてしまい
嫉妬と悲しさ、辛さで
食事もとれない、眠れない日々が
ひと月以上続いていた。


もう、一輝さんは、私ではなく
一美さん親子を選んだのだと
わかった·····



·······絶望‥‥というか‥‥‥
もう······なにも考えられなかった。


ただ、本当に大好きだった人だから、
幸せになって欲しい。

そして、お父様にも気持ちの上で
楽になって欲しい。
‥‥‥ただ·····それだけ‥‥


一輝さんには、もう必要ないから
私の家の鍵はかえた。

そして家にあった
一輝さんの荷物も、
一輝さんの自宅へ送った。

「今まで、ありがとうございました。
   どうぞ‥‥‥
     幸せになって下さい。
               凌」

   と、手紙をそえた‥‥‥‥






それから‥···

凌は、遠く離れた父を思いながら‥‥‥‥

ごめんね‥‥父さん····

······弱い·····娘で‥··

もう····ずいぶんと·····眠れてない‥‥の···


  ‥‥食事も······とれない·····の‥···


     ‥‥‥もう···········


   ········疲れ······ちゃっ·····た‥‥



もう·····ゆっくり‥眠りたい‥‥‥‥

なにも‥‥考え‥‥たく‥ない‥‥


この季節の海水は、冷たいはずなのに


 海の中は、とても、温かくて‥‥‥‥

   ‥‥私を···優しく····包んでくれて‥‥‥

  ‥‥私は‥そのまま·····眠りに落ちた‥‥
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