許されるなら‥‥もう一度
五章
何時間たったのか、わならない‥‥
玄関が開き、ドタバタ‥‥
と、一輝さんが‥‥
「ごめん、凌。本当に、ごめん。」と
「おかえりなさい。」
と、私。
「凌!」と、手をいつものように広げる
一輝さん。
その姿を黙ってみている私。
「りょう、おいで‥」と
いつもは、大好きなこの言葉なのに。
私は、首を横にふる。
一輝さんは、キッチンに入ってきて
後から、私を抱き締めてきたが、
その手を離して‥‥‥
「今日は、疲れたので、
このまま帰って下さい。」
‥‥‥‥‥と、私が言うと
傷ついたような顔をして
一輝さんは、
「わかった。
今日は帰る。
でも凌、明日くるからね。
今日は、本当に済まなかった。」
と、言って帰って行った。
彼女を触った手で、
私に触れて欲しくなかった。
他の女の人の匂いを
感じることが、堪らなく嫌だった。
ごめんなさい‥嫌な····女で······
どうしたら·····
良いのか····
······わからない····
一輝さんを失いたくない。
でも彼女を見る、一輝さんの
あの······眼差し‥
震える体を一人抱き締めていた。