ヒスイ巫女4
ヒスイが目を覚ました時には懐かしいと思った。
(たったの3日しか離れてないのに…)
ヒスイにとってここは大切な場所であった。
そこは晃たちのいる孤児院。
ヒスイはそこに両手を縛られ膝まついた。
孤児院の中から子供たちは両手を縛られ目隠しをし、耳せんもさせられていた。
そしてヒスイの前に1列に座らされた。
「琉生!何をするつもりだ!」
ヒスイがその異常な状況に声を上げた。
「簡単さオレがお前の一番になるためにお前の大切なものを無くすのさ。そうすればお前は俺を大切にするに違いないからな。」
「やめろ!私はいくら傷ついてもいい!だから」
「それは嘘だろう。」
琉生がヒスイの言葉をさえぎった。
「俺が何も知らないと思ったか。魔女であるお前は死なない。どんな傷を負わせようがどんな致命傷があったとしても1日あれば治ってしまう。そうだ…」
琉生はにやりと何かを企んだ。
そして膝まついているヒスイと目線を合わせた。
「ゲームをしよう。お前が自分の死ぬ方法をおれに教えろ。考える時間は子供ひとりにつき十秒、十秒を越した時点で1人殺す。」
そういうと子供たち1人ずつの隣に兵士を立たせた。兵士はみな拳銃を持っている。
「そしてその方法で子供たちの代わりに死ね」
琉生はおもちゃを与えられた子供のように笑った。
ヒスイの頭の中には自分の死について考えていた。
琉生が言った通り私は不老不死だ。
どうしても死ぬことは出来ない。
それがわかっていてもヒスイは考えることをやめれない。それが子供たちを唯一助ける方法だと分かっているから…
「あ、そうだ。」
琉生はポンッと手を叩きヒスイの前に何かを置いた。
ヒスイはそれが何か分からず固まった。
だがそれは次第に理解していった。
それと呼ばれるものは…
白さんの生首

絶句するヒスイの横で琉生は言う。
「魔女をかばった罪だ。この孤児院の責任者である院長に責任をとってもらった。」
ヒスイは頭の中が真っ白になった。そして自分を攻める言葉ばかり自分に浮かんできた。
そんな様子のヒスイをよこに琉生のいうゲームを始めようと言われた。
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