ヒスイ巫女4
海VS蛍
蛍は海の前に立った。
じっと見つめて言った。
「俺、昔こんな顔してたんだな」
戦いという雰囲気ではない。
前世というこれから先見ることないだろう人を観察していた。
海も動かず、静止している。
まじまじと海を見る蛍と見られてながらじっとしている海とおかしい状況ができた。
「さて、観察はここまでにしてやりますかー!」
指をポキポキとならして空手の構えをとる。
それを見た海も同じく空手の構えをとる。
一斉に駆け出した2人だが海の方が1歩早かった。
攻撃の雨が降る。
上段蹴り
回し蹴り
前蹴り
掌底(しょうてい)

連続技をくらった。
蛍の周りに砂ぼこりが舞い、逆に蛍は動かない。
海は砂ぼこりが落ちるのを待っていた。
だが海の目の前に手のひらが迫った。
そして鼻に当たる。
砂ぼこりの中から現れた蛍は
「お前が開始と同時に連続で攻撃するのは予想してたぜ。さすが前世だな!そこをうまく利用した。技を全て受け、勝ったと見せかけての攻撃。といってももう聞こえてないだろうがな。」
海は人の急所である鼻を強く押され、失神していた。
その場を去ろうとした蛍は後ろに気配があるのを気づいた。
ハッと見ると蛍の攻撃をくらい青く腫れていた鼻が治り、平然と立っている。
驚くべき治癒能力、だがそれは巫女の力や天使の力を持った者だけが使えるケアーの治癒能力と同じだった。
蛍はあることに気付き声をあげた。
「みんな聞いてくれ!」
蛍は叫ぶ。
「こいつらは何度でも立ち上がるどんな攻撃をしても治る元である琉生を倒さなければこの戦いは終わらない!俺達がこいつらを止める。ヒスイ行け。お前が琉生を倒せ」
そう叫ぶと蛍は海との戦いを始めた。
まさに拳と拳のぶつかり合い。
己の意思をぶつけ合うそんな戦いだ。
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