ただ君が。
その瞬間みんなの視線が一気に私に向いた。

うっ…怖い。

これは普通に怖い…。

舞台の上での視線は平気なのにこういうのは慣れてないせいかすごく怖い。

隣にいる桜もこいつら…と怒りそうになっている。

どうしたら…

私が困っていた時。


「お前らなぁ、一気に見てやるな。
怖がってんだろ?」

「え?」

私の前に1人の男の子が立ってくれた。

私より15cm以上背が高い人が。

その男の子のおかげでみんなこっちを見るのをやめてくれた。


「あの! ありがとうございました!」


私が勇気を振り絞って言うと、


「いえ、大丈夫ならよかったです。
みんなも悪い気があるわけではないんです。許してあげてください。」


穏やかに微笑む彼。

でも、あれ? なんかさっきと…


「冬哉、サンキューな。私がキレようかと思ったよ」

「いえ、たいしたことはしていません。
桜さんが怒ってしまうと泣く人が出てしまいそうでしたので」

「お前案外ひどいなぁ…」

「えっと…」


話についていけない…

けど、私を助けてくれたのはどうやら冬哉さんというらしい。

けど、やっぱり気になるのはさっきとの喋り方の…
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