【完】幼なじみのあいつ
「亮ちゃん…、翔ちゃんと本当は何かあったんでしょ?私には教えてくれないの?…何だか寂しいな」
「鈴…、本当に何でもないんだ」
こんなに雰囲気が悪いのに、まだ何でもないなんて言うの?
どうして私に、嘘をつくのよ?
幼なじみの私には、言えない事なの?
「まぁ、ちょっとした男同士の揉め事」
私がまだ納得していないことが分かったのか、亮ちゃんは言葉を付け足してくれた。
男同士の揉め事…、かぁ。
そんな事を言われちゃうと、何も言えなくなってしまう。
納得はしていないけど、これ以上は教えてはくれないのだろう。
しょうがないので私はその言葉に納得する振りをする為、軽く頷いた。
亮ちゃんからは頭を撫でられたけど、あまり素直には喜べない。
具合も悪いし、何も考えずにしていよう---
今だ私の目の上にある亮ちゃんの手の温もりを感じながら、心地良い川の音だけに耳を傾ける。