【完】幼なじみのあいつ
「宮本さん、身体痛むの?」
そうだよね…、階段から落ちた後に泣いていたら痛みで泣いていると思うよね?
何も答えたくない私は、取り合えず頷いておいた。
* * * * *
病院の診断は、頭の異常も骨の異常も見られず全身打撲との事だった。
階段から落ちてその程度のケガだった事に喜ぶべきなのに、一週間も家で安静にしなさいと言い渡された私は酷く落胆していた。
つまり明日、外に出られない私はバスケの試合は勿論出られない。
一週間もあれば、地区予選が終わってしまうのに…。
これでもう、私の中学バスケ生活はピリオドを打ったことになる。
なんて虚しいんだろう…。
三年間、一生懸命頑張ってきたのに---
あ、そう言えば夏合宿がまだあったんだっけ…。
でもその合宿は大会が終わってからだから、殆どお遊び合宿なんだよね。
だから試合の出られない私にとって、バスケ生活は終わったも同然なんだ。
何か急に、身体の力が抜けてきてしまった。
試合に…、
出たかったよぉ。
そんな事を思っているうちに痛み止めの薬が効いてきたのか、だんだんと眠くなってきた。
瞼がトロンとしてくる---
トントン…
トントン…
不意に窓を叩く音が聞こえ、閉じかけていた瞳を開けてカーテンのひいてある窓に視線を移す。