【完】幼なじみのあいつ
試合の始まる音が鳴り響く。
相手チームのスローインから始まり、みんなが動き出した。
「みんながんばれー!!!」
女子バスの子達の大きな声援が、耳に入ってきた。
私も一緒になって応援する。
ドキドキが、止まらない。
コート内を走るみんなの動きが早くなり、ボールもあっちこっちと忙しなく動いている。
その中でも翔ちゃんがやっぱり、一番の動きまわっているような気がする。
ううん…、気のせいじゃない。
上から見ていると、よく分かる。
翔ちゃんが一番、動き回っているんだ。
汗を拭いながら強い瞳で必死に喰らいつく翔ちゃんは、私の知っている翔ちゃんとは全く違う。
かっこよすぎて別人だ!
このままなら勝てるかも?
と思ったけど、相手はかなりの強豪校。
点数は25対22で私達の学校の方が勝っていたけど、このままでは終わらないはず…。
まだまだ油断は、出来ない---
ハーフ・タイムに入り男バスの皆は飲み物を飲みながら、今後の作戦を話し合う。
翔ちゃんも真剣な眼差しで、キャプテンの話しを聞いていた。
でもどこか楽しそうな翔ちゃんに、思わず笑ってしまった。
翔ちゃんは昔っから、勝負事が大好きだったよね。
がんばれ、翔ちゃんっ!