【完】幼なじみのあいつ
翔ちゃんの放ったボールはリングに入る事なく…、
コートに落ちていった---
翔ちゃんは悔しそうに、リングを食い入るように見つめている。
歯を食いしばり、睨みつけながら---
「翔ちゃん…」
翔ちゃんの悔しさが伝わってきて、私は泣いてしまった。
翔ちゃんは泣いていないのに、私が泣くなんておかしいよね。
分かっているのに、どうしても涙を止められなかった---
悔しいね、翔ちゃん?
視界でぼやけた翔ちゃんは、審判に促され最後の挨拶をする為に列へと並ぶ。
力なく挨拶をしていた翔ちゃんの姿は、どこか泣いているようにも見えて胸が痛い。
今すぐ翔ちゃんのもとに駆け寄って、抱きしめたかった---