【完】幼なじみのあいつ





翔ちゃんの放ったボールはリングに入る事なく…、







コートに落ちていった---










翔ちゃんは悔しそうに、リングを食い入るように見つめている。



歯を食いしばり、睨みつけながら---







「翔ちゃん…」


翔ちゃんの悔しさが伝わってきて、私は泣いてしまった。


翔ちゃんは泣いていないのに、私が泣くなんておかしいよね。




分かっているのに、どうしても涙を止められなかった---





悔しいね、翔ちゃん?





視界でぼやけた翔ちゃんは、審判に促され最後の挨拶をする為に列へと並ぶ。


力なく挨拶をしていた翔ちゃんの姿は、どこか泣いているようにも見えて胸が痛い。






今すぐ翔ちゃんのもとに駆け寄って、抱きしめたかった---








< 148 / 239 >

この作品をシェア

pagetop