【完】幼なじみのあいつ
「…鈴、ごめんな?最後のシュートを外しちまって…」
翔ちゃんの言葉で翔ちゃんがゴールに向かって放った、最後のシュートの瞬間を思い出す。
シンと静まり返る体育館。
そんな中ゴールに向かって放った翔ちゃんの姿は、まるでそこにだけに一筋の光が当たっているかのように鮮やかに映し出されていた。
ひたむきに投げたボール。
それを批判する者など、誰がいるだろう?
だから、謝らないで---
「なんで謝るの?」
「あの時、本当はシュートせずに仲間にパスをしようとしてたんだ。でもその時、鈴の声が聞こえてその声に導かれたように、思わずシュートしちまった。……折角、鈴が応援してくれたのにそのシュートがものに出来なくて、悔しかった…。で、まぁ。応援してくれた鈴にごめんって感じ」
えっ?!
あの時の声、翔ちゃんに届いてたの?
「大きな声出して、ごめんね」
私があの時、あんな大きな声で応援しなければよかったんだね。
申し訳なさに立ち止まった私は、地面へと視線を向けた。