【完】幼なじみのあいつ
「…何故、言ってくれない?」
思わず口を噤んでしまう。
でも、何か話さなくちゃ…。
こうして黙っているという事は、何かを隠していると言ってるようなものだもんね?
困ったな---
何て思っていたら、気付かないうちに亮ちゃんに後ろから抱きしめられていた。
「………ッ、りょ、亮ちゃん?」
「俺は心配なんだ、鈴が。また鈴に何かあってからでは遅い。……だから言ってくれないか?」
また、何かあってから?
早紀ちゃんはまた、私に何かをするのだろうか?
しないよね?
大丈夫だよね?
……何だか心配になってきた。
「どうしても言わないのなら、言わせるまでだ」
「ひゃっ?!」
そう言って私を抱きしめていた亮ちゃんは突然、私の耳を甘噛みしてきた。
「な…、りょ、亮ちゃん?」
「…へ?、ちょっ、……、や、やめ…」
くすぐったさに身を捩るも、離してくれない亮ちゃん。
いきなり、何するのよ?!
驚いた私は思いっきり亮ちゃんの胸を押し、後ずさった。