【完】幼なじみのあいつ
「辛い事を思い出させて悪かったな」
そう言って亮ちゃんは、私を抱きしめてくれた。
震えていた私の身体は亮ちゃんのお陰で徐々に治まっていき、早紀ちゃんへの恐怖心が少しずつ薄れていく。
「…亮ちゃん、早紀ちゃんをどうするの?」
「取り合えず、話し合う。話してダメなら誰か大人に言うしかないだろうな?」
早紀ちゃん…、これ以上何もしないよね?
早紀ちゃんのした事が翔ちゃんにばれてしまったら、早紀ちゃん自身が辛いだけだよ。
もう二度と、何もしてこない事を祈るしか出来ない私としては歯がゆい思いでいっぱいだ。
でも、私が手を出すわけにはいかない。
そんな事をしたらきっと火に油を注ぐだけだもん。
だから後は、亮ちゃんにお願いするしか他に方法はないよね?
暫く亮ちゃんと話し、それから家を後にした。
* * * * *
次の日、案の定?かどうかはさておき、私は昼休みに早紀ちゃんに呼び出されて今、裏庭に来ている。
人っ子一人いない、裏庭。
早紀ちゃんはまだ、来ていないようだ。
視線を空に向け、ボーッと雲一つない空を眺める事にする。