【完】幼なじみのあいつ


「いったっ!!!ちょ、…止めてっ!痛いってばっ!!!」


私の頬を平手打ちした早紀ちゃんは、今度は私の髪の毛を思いっきり引っぱりだす。


いきなりの早紀ちゃんの行動に、びっくりだ。



いや、唖然としている場合ではない。


とにかく早紀ちゃんに、髪の毛を引っ張るのを止めてもらわなくては。



両手で早紀ちゃんの腕を掴んで私の髪から離そうと力を込めるがそうすればする程、私の毛根が痛みを訴えて目が涙で滲む。



ほんと早紀ちゃん、止めて!


ハゲル、ハゲルよぉぉぉ~!!!




「あんたのせいで、翔ちゃんにばれたらどうしてくれんのっ!」



え?


今、『あんた』って言った?



ちょっと早紀ちゃん、キャラが変わっちゃってるよぉ~!



怖い、怖すぎる!!!




「痛いっ!痛いから止めてよっ!」


「あんたなんかいなくなっちゃえばいいのにっ!」



目頭に涙を溜めながら痛みを耐えていると、急に髪の毛を引っ張る手が私から離れたていった。



痛かった~。


やっと止めてくれた…とホッと胸を撫で下ろしながら早紀ちゃんを見ると丁度、早紀ちゃんが大きく手を振りかぶっているのが視界に入り目が点になる。




まさかまた私を、打とうとしているの?




「やっ!」


また来るであろう早紀ちゃんからの平手打ちに備え、私は目をギュッと瞑りそれを待った。




うぅぅぅ…、


早紀ちゃん、もうやめてよぉ~っ。



とは言ってもきっとまた来るであろう、あの痛み。


諦めの境地にも似た思いで、次の痛みを持つ。




………が、しかし---



いくら待っても、平手打ちは来なかった。






あれ?



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