【完】幼なじみのあいつ


不思議に思い、そっと薄目を開けてみる。



すると目の前には何故か早紀ちゃんだけではなく、



………翔ちゃんもいた。






早紀ちゃんの上げている手を掴んで止めている、翔ちゃん。



早紀ちゃんは突然の翔ちゃんの登場に驚いたのか、目を見開き固まっている。






「こ、怖かったーーーっ」


二人の様子に脱力した私。


翔ちゃんが来てくれたから、もう大丈夫なんだと安心して力が抜けたのだ。




へなへなと地面に蹲り、顔を膝の上せる。



そんな中、この場にいる人以外の足音がバタバタと聞こえてきた。



誰?


と頭を上げる。




「大丈夫か?」


焦ったように走って来た亮ちゃんが、座っている私を全身くまなく見る。


そんな亮ちゃんに、力なく首を縦に振って答えた。




二人が来てくれたからもう大丈夫だよと言いたかったけど、今は話す気力まではない。




「…早紀ちゃん、何やってんだよ?!」



翔ちゃんの声に、顔を上げる。




早紀ちゃんの腕を掴んだまま、翔ちゃんが怖い顔をしながら彼女を睨みつけている。


そんな翔ちゃんを見て早紀ちゃんは、顔を青ざめさせながら下を向き身体を震えさせた。





「………」



無言を貫く早紀ちゃんに、翔ちゃんはため息をついて腕を組む。




「早紀ちゃん?…鈴に手を出さない約束で、俺達はまた付き合う事を決めたんだよな?」


翔ちゃんの言葉に頷く、早紀ちゃん。





…?


私に手を出さない約束?





何の事?

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