【完】幼なじみのあいつ
5章 夏合宿で永遠に


今日は、待ちに待った合宿初日。



8月の第一週目に入ったばかりの今日は相変わらず晴天続きということもあり、かなり熱くて体育館内は熱気ムンムン。


でも都内よりかは幾分涼しいこの場所は、有名な避暑地だ。



この合宿所の周りは木々に覆われているからかそよそよと新緑の香りを風と共に体育館内に入り込み、私達の纏わりつく暑さを和らげてくれている。





さて、夏休みに入る前には様々な出来事が私の身の回りでたくさんありましたが、それも何とかクリア?した私は夏休み中、楽しくやっていたのか?


と聞かれたらまぁ、可もなく不可もなくな毎日を送っておりました。




亮ちゃんとはもう恋人同士ではなくなったけれど…、って言うか恋人期間が異常に短かったからか?


すんなりと、以前の幼なじみポジションに戻る事が出来ました。




翔ちゃんとは…、


告白なんて出来るはずもないので、今まで通りというか相変わらずな関係が続いています。



て言うか今まで通りで良いんですっ!




付き合うなんて想像できないし…、


そんな事、想像しただけで恥ずかしい!!!




頭の中で色々な妄想?をしては顔を真っ赤にしていたら、ボールが私の頭にゴンッ!



いった~!!!


バスケのボールって重いから、痛いんだからね?!


私にボールをぶつけたの、誰よ?




張本人を探すと、そこにはヘラヘラしている人物が…。


人にボールをぶつけておいてなんでそう、笑ってられるかな?



イライラしながらそいつを睨みつけると、当の本人はそんな私の睨みなど全く気にもせず。





「そんなところでボケッと座ってっから、ボールなんてぶつけるんだよ」


先ほど私にぶつけたボールを手に取り、私の隣に座る翔ちゃん。


全く悪びれた様子のない翔ちゃんに、苛立ちは募る。





「ちょっとっ!痛いじゃない!!!………なによ、そっちも休憩中?」


「おう」



怒ったところで翔ちゃんは全く堪えないと判断した私は飽きらめる事にし、私の隣に座ってきた翔ちゃんをジットリと見ながら聞いてみた。



フハッ…と疲れたように息をはき、手に持っていたボールを器用に自分の指先に乗せそのまま暢気にクルクルまわし出す翔ちゃん。



…ガッシリした体つきに、以前に比べてシャープになった顔つきは凛々しくて…。


見ているだけで私の胸は、鋼のようにドキドキと胸が鼓動を震わせていく。



好きという気持ちがいっぱいいっぱいで、張り裂けそうだ。




翔ちゃんの横顔を見ながら疼く胸を押さえたくて、視線を翔ちゃんから逸らしてしまった。






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