【完】幼なじみのあいつ
「…何でよ?」
「俺が知るか。理由なんて聞いてねーもん」
今度は座りながら、ボールをドリブルする翔ちゃん…。
翔ちゃんはボール大好きだから、暇さえあればずっと触ってるよね。
自分の部屋の中でドリブルしてお母さんに怒られてるの私、知ってるんだからね…、と思わずニヤリ---
「うわっ、何ニヤツいてんだ?キモッ」
翔ちゃんは私の顔を見て胡散臭そうに顔を歪め、ドリブルしていたボールを私の顔面めがけてヒョイッと投げてきた。
「あだっ!!!何度もボールぶつけないでよっ。もー、…それより亮ちゃん、本気で別の高校に行く気なのかな?」
「知らねーし。ってかお前、反射神経鈍いんじゃね?軽めに投げたボール取れないなんてさ」
酷くバカにした顔で私を見てきた翔ちゃんに、怒りが込みあがる。
急に投げられたら、取れなくたってしょうがないよね?!
「そのボール貸しなさいよ!翔ちゃんだって突然、ボールを投げられたら取れないはずよ」
「俺、取れる自身あるしっ」
そう言ってニタニタといやな笑みを浮かべながら、私にボールを渡してきた。
余裕そうなその態度が、更に腹が立つ。