【完】幼なじみのあいつ
「本当に2点差で良いの?じゃぁ、3-5勝負な。さーてと鈴ちゃんにはどんな命令しちゃおっかな?」
え?
8-10勝負じゃないの?
なら、楽勝じゃない?
さっき言ってた3-10勝負程じゃないけれど、それくらい私にとってラッキーだよね?
翔ちゃんって意外と優しいかも。
…とは言え………、命令出来るって勝負に不安が募るのは何でだろう?
だって翔ちゃんって、ろくでもない命令しかしなさそうだもん。
「出来れば簡単な命令にして欲しいなぁー」
「なに?鈴はもう負ける気でいるの?」
馬鹿にされた言い方に、ムカッとした。
別に負ける気でいるわけじゃないしっ!
ただ命令される内容に不安があるだけだもん。
あれ?
それって結局、負けるって思ってるからそんな事を考えてるのかな?…って絶対違う!!
「私は絶対、勝ーつっ!!!いざ翔ちゃん、勝負っ!」
私達は体育館を出て少し歩いたところにある野外用バスケットコート内に入り、向かい合った。
私は真剣な顔をしているのに、翔ちゃんは嫌味なくらいニヤニヤ笑っている。
どこか私を馬鹿にしたその態度に、本気で腹が立ってきた。
翔ちゃんを絶対に負かしてやるんだからっ!
「じゃ、鈴からどうぞ」
その言葉に持っていたボールをドリブルをしながら、どうやってシュートを決めるか頭の中で組み立てていく。
思いついたその作戦を幾度か頭の中で反復し、そしてどうやって翔ちゃんを打ち負かすか決めた。
行くよ!
翔ちゃん、覚悟っ!!!