【完】幼なじみのあいつ


一気に、リング下に向かって走った私。


翔ちゃんの股下にボールを潜らせ、リング下で素早くシュート~!




「やったっ!」


ガコンッ…という小気味よい音を聞きながら、気分よく振り返った私。



その先にいた翔ちゃんの顔が、不気味に笑っていて顔が引きつった。




こわっ!!


翔ちゃんのその笑みに、ゾクッと悪寒が走る。




「へーっ、やってくれるじゃん?じゃ、次は俺の番だな?」


不穏な空気を感じながらも手に取ったボールを翔ちゃんに向かってバウンドさせると、受け取った翔ちゃんはそのまま大きな手で力強いドリブルを始めた。




「すーずちゃん、覚悟しろよ?」


翔ちゃんのセリフに、私の身体は固まる。


その隙を突いた翔ちゃんは、一気に私の横を通り抜けシュートしてしまった。




はっ、しまった!


早すぎて翔ちゃんを目で追えなかった---




私…、やばい?




「鈴ちゃん?ボーッと突っ立ってたら、ゲームにならないよぉ?」



翔ちゃんの余裕の笑み。



どうしよう…。


でも頑張るしかないよね?





最初の勢いはどこえやら?


一気に尻込みしてしまった私。



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