【完】幼なじみのあいつ


次は私の番…。


翔ちゃんからボールを受け取った後、情けなくもこのままじゃ負ける…と思った私は翔ちゃんにお願いをしてみる事にした。




「やっぱり…、賭けは止めよ?」


「ダーメ、もうゲームは始まってんだから逃げんなよ」


「………分かったわよ。じゃぁ行くよ」




ドリブルしながら、翔ちゃんの動きをジッ見る。


楽しそうに笑みを浮かべている翔ちゃんを見ながら、これからどう動こうかと考えた。



うーんとそうだなぁ…、左にフェイク、右にフェイクしつつ左から一気に行く?


………どう動いても、翔ちゃんに止められそうな気がしてしまう。



ううん、ダメ!


弱気になったら終わりだよ!



しっかりしろ、私!!!





自分に活を入れ、そして一気に翔ちゃんに向かって走った。


…が、フェイクする間もなくすぐにボールを取られてしまった。


ボールをカットされた時、全く動きが見えなかったよ…。




あまりの速さに唖然と佇んでいたら、翔ちゃんが私の横を軽々とすり抜けていく。




はっ!


しまった!!!



気を取り直してすぐにダッシュして、翔ちゃんの後ろを走った。



リング下まで辿り着いた翔ちゃんがそのままジャンプしたところを、私がボールをカットしてやった!




ボール、頂き~♪


手に取ったボールをガッシリ掴んだ後、すぐに向きを変えてドリブルしようとしたところでスッと取られてしまう。




え?!


振り返ると丁度、翔ちゃんがリングにダンクシュートしたところだった。




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