【完】幼なじみのあいつ
えっ、こんな暗闇の中女の子一人、置き去りにしちゃうの?
本当、翔ちゃんて私を女の子として見てないよね?
がっくり肩を落としながら、花ちゃんの先ほどの『お似合いですね』の言葉を思い出し苦笑いしてしまった。
お似合いも何も私の事、女として見られてないし---
告白しようと決意してた気持ちもすっかり消え失せ、脱力してしてしまった。
もー絶対に明日は、待ってやんないんだからっ!
翔ちゃんに対する苛立ちをそのままに宿舎へと戻ったところで、周りにイライラをぶつけてしまいそうだ。
だったらこのまま少し夜風にあたりながら、頭を冷やした方がいいかも?
そう考えた私は、コートの上で大の字になって寝転んでみた。
「あーーーっ!気持ちいいーーー」
風が夏の匂いを運んでくる。
何だか懐かしいにおいに目を瞑って、昔を思い出した。