【完】幼なじみのあいつ
沈んだ気持ちのままストレッチをやり終えた私は、徐々に集まり出しているチーム分け表のところへ重い足取りで向かった。
人がたくさんいて、表がなかなか見えない。
早く人が引かないかなとジッとその場で佇んでいたところで、誰かに頭を叩かれた。
「…った。何すんのよっ!翔ちゃん」
頭を叩いてきた人物をチラリと見てみればやっぱりというか…、翔ちゃんであった。
「何ボーッと突っ立ってんの?早く練習やろーぜ?」
「…まだ、チーム分け見てないんだけど」
「お前は俺のチーム。ホラ、行くぞ。おーっ!シノ、のぶ。早く来い。練習やるぞー」
私の腕を引っ張りながら翔ちゃんは、次々と名前を呼ぶ。
「へーっ、同じチームなんだ?初めてだよね。宜しく、翔ちゃんっ」
「おうっ!頑張ろうぜっ」
そう言った翔ちゃんは、私を見てヘラッと笑った。
翔ちゃんの笑顔に、胸がどきんと鳴る。
今年は翔ちゃんと一緒なんだね。
ラッキー---
密かに喜びつつも、表情には出さないようにした。