【完】幼なじみのあいつ
「………無理」
どうにか口を開き、出せた言葉はその一言。
チラッと翔ちゃんを見て顔を歪めて一言そう告げる私に翔ちゃんは、私の肩に手を置き大丈夫だと言ってきた。
いや、どう考えてもその作戦、私には無理でしょ?
「それは篠君かノブ君にやってもらえば?」
「大丈夫!お前なら出来るって」
いえ、出来ません。
何度言っても引かない翔ちゃんに口ごもる。
ほんっとそんな事、私には出来るわけないし…。
一歩も引かない翔ちゃんに、何を言っても無駄だと判断した私は取り合えず頷いておく事にした。
絶対にやらないけど…。
「よしっ、じゃ、練習すっかっ!」
気合を入れた翔ちゃんは立ち上がると、持っていたボールをドリブルしながら私たちに指示を出し始めた。
私に指示してきた作戦は、練習なしのぶっつけ本番一本勝負らしい。
やらないけどね---
暫く練習をしていたら、笛の音が聞こえてきた。
その音の出所である有本さんの前に、みんなが集合する。