【完】幼なじみのあいつ
「では今から試合を始めるわよ?じゃ、Aチーム、Bチーム。コートに入って」
有本さんが皆に指示し、それにつられるように翔ちゃん率いるメンバーが動いた。
…と言う事は私もかな?
翔ちゃん達の後をついていった私はその後、頭の中でクエスチョンマークが浮かぶ。
あれ?
私のチームってA,Bどっちなんだ?
表を見ていなかった私には、どっちなのかが分からなかった。
「ちょっと翔ちゃん。私たちってどっちのチーム?」
「Bチーム。お前、チームわけ見てないの?」
振り返った翔ちゃんは、呆れた顔で私にそう言ってきた。
その言い方、ムカつくんですけど?!
「チームわけ見る前に翔ちゃんが私を連れ出したから、見れなかったのよっ!」
「フーン…」
興味なさげにそう言ったと翔ちゃんは私から視線を逸らし、コートに向かっていってしまった翔ちゃん。
え?
それだけ?
さっさと私から離れていく翔ちゃんの背中を睨みつけながら、私もコートの中に入った。
「鈴、俺たちの作戦Z、この試合で決行するぞ」
整列している私の横で、翔ちゃんが楽しそうに耳打ちしてきた。
その一言で、怒りの表情だった私の顔が一変。
驚きの表情へと変わる。
「作戦Z?…それって本気だったの?」
「当たり前。俺、試合で一回やってみたかったんだよね~」
「じゃぁ、違う人とやれば?」
翔ちゃんの話しによると以前、それを実行した事があるそうだ。
でもその時は上手くいかなかった為、今回リベンジなんだと呟いた。
「じゃぁ、私にはもっと無理だよっ」
ピーーーッ---
試合開始の合図がなる。
話している途中で、試合が始まってしまった---
こんなことなら、翔ちゃんと同じチームになりたいと願うんじゃなかったなぁ。