【完】幼なじみのあいつ
「鈴、作戦Z、始めるぞ」
私の横に来た翔ちゃんが、こっそりとそう呟いた。
誰にも聞かれないように話してきたけど、こんなの誰かに聞かれたところで全く問題ないよね?
呆れつつ、目を背けた。
「…………イヤだ」
「やるの。ほら、行くぞっ!」
本気だったの…?
やだな~。
出来るわけないよ。
翔ちゃんのやろうとしている作戦を思い浮かべながら、リングを見上げる。
すると突然、花ちゃんの声が…。
「鈴先輩っ!」
花ちゃんが私にボールを投げてきた。
それを受け取りながら、ドリブルする私。
うー、やだやだ。
本当にやらなくちゃいけないの?
リング下を見ると、翔ちゃんがニヤリと私に向かって笑った。
あの顔、本気だ!!!
翔ちゃんの悪どい顔を見たらもうこの際、どうなってもいいやと思い立ち開き直る事にした。