【完】幼なじみのあいつ
「ホラ、鈴来いっ!!!」
翔ちゃんに近づくといきなり片膝をつき、両手を組んで前に突き出してきた。
あそこに向かって飛べってか?!
もう、どうにでもなれっ!!!
「翔ちゃんのバカ~!!!!!」
叫びながら翔ちゃんの組んでいる両手の上に自分の片足を乗せ、一気にジャンプした私!
体勢を立て直しながらボールを前に突き出し、リングに近づいていく。
そしてゴールまで後10㎝…、
と言うところで身体が下へ下へと下がり始めていくのを感じ、急いでボールをリングに向かって投げた。
「………っ!」
スポッ---
うそっ、入った?!
ボールがリングに入ったのを見届けた瞬間、自分の身体がグラッと傾く。
「………っ!!!」
ダメだ!
体勢を立て直せない!!
目を瞑り、自分の身体が床にぶつかるのを覚悟した。
しかし…
「………あれ?」
痛みがない---
おかしいな…?
瞼を開けてみれば…、
「しょ、翔ちゃん?」
「いって…。お前ちょい重すぎ。少し痩せれば?」
私の下敷きとなった翔ちゃんは痛みに顔を歪めながら、それでもいつものヘラッとした笑顔で私を見上げてきた。