【完】幼なじみのあいつ
「…助けてくれたの?」
「いつもお前に何かあったら助けてやってるだろ?だからお前は何も心配しないで、俺に任せておけばいいんだよ」
そう言った翔ちゃんはいつもよりも頼もしく見え、目が離せなかった。
どうしたんだろう?
翔ちゃんがいつも以上に、輝いて見えるんだけど…。
「…おい、鈴。そろそろ退け。皆見てるぞ」
翔ちゃんのその言葉に、はっと我に返って周りを見回してみる。
すると全ての視線が私と翔ちゃんに向かっていて、うわわわ~と慌てふためいた。
まさかこんなに注目されてるなんて!
急いで翔ちゃんから離れた私は羞恥心から、顔を両手で隠す。
「は、恥ずかしい~」
うわーっ、周りに人がいる事をすっかり忘れてたよ!
どうしよ~。
「ほら、まだ試合中だ。行くぞ」
ポカッと私の頭を叩いた翔ちゃんは、周りの事など全く気にしていない様子ですぐ身体を起こすと自分のマークする相手のところに行ってしまった。
そんな一連の動作をあっけに取られながら、私は翔ちゃんを見送っていた。
「すーず先輩っ」
私に近づいてきた誰かが、背中をポンと叩く。
誰?
と視線を翔ちゃんから移動してみれば…、
「面白いシュートですねっ!先輩、最高ですっ!!!」
親指を立てながらふふって笑う、花ちゃんがいた。
そんな花ちゃんに、私は苦笑い。