【完】幼なじみのあいつ
力尽きた私はぐったりと、翔ちゃんの胸にもたれ掛かった。
「…それよりいつまで、鈴とくっついてる気だ?」
プリッツを食べ終わった亮ちゃんは私の腕を引き、翔ちゃんから私を引き剥がす。
バチバチッ!
何か火花が散ってますよー?
そして睨みあう、翔ちゃんと亮ちゃん。
あぁ、どうすればいいの?
どうしたら良いか分からない私はオロオロ二人を見ていると、翔ちゃんの隣にいた美香がヒョイッと横から顔を出した。
そして『しょうくーん』と甘えた声を出しながら、腕にしがみついてくる。
ここで二人の睨み合いは、終わりを告げた---
取り合えず雰囲気のよろしくなかったこの状況を回避してくれた、美香に感謝するべきなのだろうか?
べたべたする美香に、翔ちゃんは嫌がって腕を離そうとするが全く離れず。
それを見ていた私は少しばかり、やきもきした気持ちが溢れ出す。
二人を見ていたくない私は視線をフッと逸らし、亮ちゃんに顔を向けた。
「亮ちゃんっ!恥ずかしいから、ああいう事はもう止めてね?」
少し顔を赤らめていた私に、亮ちゃんはニヤリと悪い笑みを向けてくる。
「皆の前ではな…」
何て言う亮ちゃんにボーゼン---
ほんっと今までの亮ちゃんは、こんな事を言う人じゃなかったのに…。
そんな亮ちゃんにどう接したらよいか分からず、目を泳がせてしまった。