【完】幼なじみのあいつ
「ほら、皆席に着け。HR始めるぞー」
そう言いながら教室に入ってきたのは、うちのクラスの担任の先生。
私は急いで窓際にある、自分の席へと着席する。
チラッと隣の席を見た。
視界に入った翔ちゃんはもうすでに自分の席に座っていて、一生懸命宿題を写しているところ。
写しているあのノートは、きっと美香ちゃんのだな…と思いながら今度は窓の外を見た。
校庭にある木はもうとっくに桜が散っていて、5月に相応しい新緑となっていた。
開いた窓からは木々の匂いが混じった風が、私の頬をかすめる。
暖かい風と新緑の匂いが心地よくて、何だか眠くなってきた。