【完】幼なじみのあいつ


「行って来いよ、翔。時間までにバスに戻って来ればいい」


翔ちゃんが早紀ちゃんのお願いにどうしようかと悩んでいると、横から亮ちゃんが口を挟んできた。




「…そうか?」


チラッと何故か私を見てから、考る翔ちゃん。


しかしすぐに立ち上がると、自分の鞄を持って席から離れた。




いや、離れようとしたところで美香が、翔ちゃんの腕を掴んで引き止める。




「行かないで?翔君…」


「…ごめんね、美香ちゃん。ちょっと行って来る」



そう言って翔ちゃんは、美香の腕を手で掴み離した。




「…みんな、ちょっと行って来る。ごめん」


翔ちゃんは早紀ちゃんに目配せすると、私達に背を向け歩きだした。



途中で私達の方を振り返る、翔ちゃん。


その時、私を見ていたような気がした…。




自意識過剰かもしれないけれど---


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