【完】幼なじみのあいつ
翔ちゃんが抜けた後私達5人は、公園内をゆっくり散策した。
集合時間十分前に、バスに戻った私達。
まだ翔ちゃんは帰っていないようで、バスの中にはいない。
まだかなぁ?
窓からバスに向かって歩いてくる修学旅行生達を眺めていると、早紀ちゃんと一緒に歩いてくる翔ちゃんが見えた。
並んで歩く二人を見るのが辛くて、すぐに視線を逸らそうとする私。
でも、何か違和感を感じもう一度二人を見た。
あれ?
どことなく二人の雰囲気が、暗く感じるのは気のせい?
早紀ちゃんと別れた翔ちゃんが、バスに乗り込んできた。
『ただいま』的な視線を私に送った後、私の席の通路を挟んだ右側に座る。
戻ってきた翔ちゃんはどこか元気がなく、落ち込んでいるようだった。
隣に座っている美香もその様子に気付いたのか、珍しく翔ちゃんに声をかける事もせず見つめているだけ。
さっきまで翔ちゃんは彼女と一緒にいて楽しかったはずなのに、何かあったのだろうか?
「…翔ちゃん?どうかした?」
思い切って聞いてみたけれど翔ちゃんは私をチラッと見た後、何でもないと言ってそのままボーっとしていた。