【完】幼なじみのあいつ
「…亮ちゃん」
「ん?」
窓から外を見ていた亮ちゃんが、私へと視線を移す。
「…何かね、翔ちゃんの様子が変なの。彼女と何かあったのかな?」
こんな事を亮ちゃんに聞いたところで、分かるわけないと思うけど…。
亮ちゃんは私からボンヤリしている翔ちゃんに視線を向け、すぐに眉根を寄せた。
そしてそのまま、ジッと翔ちゃんを見つめる。
「亮ちゃん、どうしたの?」
「いや、………翔のヤツ何があったんだろうな?」
翔ちゃんをジッと見ている亮ちゃんを呼んでみると、はっと我に返ったように目を見開いた後、私を食い入るように見てきた。
え、何?
首を傾げると、一瞬目を泳がせた亮ちゃん。
亮ちゃん、もしかして何か知ってるの?
でもこれ以上聞いたところで、教えてくれなさそうだ。
私は諦め、そう…と返事をし、前を向いた。
折角の修学旅行なのにな---