【完】幼なじみのあいつ


ホテルに着いたのは、夕方になってから。


そんなに期待はしていなかったけど目の前に立つ質素なホテルに、うん、こんなもんか…と暫し見上げてから皆と一緒にホテルへと入って行った。





ロビーでクラスごとに集まった私達生徒は、各部屋のカードキーを先生から受け取り部屋に向かう。



部屋割りは各班事、男女別って事で一部屋3人ずつ。


つまり私と同室になるのは、香織と美香と私の3人だ。




カードキーを貰った香織が部屋の扉を開け、三人で部屋に入る。



部屋の中には三つのベットと、小さな冷蔵庫。


それにテーブルと赤いソファー二脚。



いかにも安いビジネスホテルのような感じの部屋だった。




部屋にはユニットバスがついているけど、私達修学旅行生達は大浴場を使用しろと言われている。


だから私達三人は今、大浴場に向かう為の用意をしているところ。




「さ、行こっか?」


香織の言葉を合図に私と美香もお風呂セットを手に持ち、部屋を出た。



辿り着いた大浴場はとても広々としたところだった。



お湯も天然温泉という事もあり、気持ちがいい。


肌はいつもより、ツルツルだ。




「気持ち良かったねっ!」


「本当!スッゴク良かったーっ!」


「また来たいよね」



温まった身体で浴衣を着て、香織と美香とで楽しく話しながら部屋へと向かう。


歩いている途中、私は大浴場に忘れ物をした事に気付いた。


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